【書評】経済数学の直感的方法 確率統計編【前半】
- 2017/01/06
- 22:58
昨日、金融業界に転職したいという女性がいたので、ブラックショールズの話をした。
オプションのプライシングをモデリングした「ブラック・ショールズモデル」がノーベル経済学賞を取って一世を風靡した時代があって、数式モデルのみで運用する「ロングタームキャピタルマネージメント」(LTCMと略される)というファンドが設立されて、それがある日吹っ飛んだという伝説は有名な話なんだけど。
私も自分の本でブラックショールズモデルのモデルの書き方を付録でつけたことがあった気がするけど、ブラショーはエクセルで解くと一瞬なんですが、概念を理解するのは文系人間にはかなりキツい数式です(・・;
とはいうものの、高校数学を学んでいれば解けない問題ではありませんし、金融業界に入るからと言って解けないといけないというわけでもなく、金融セールスであれば概念を理解しておけば十分でしょう。※知人が野村証券のクォンツアナリストで応募したときの試験は、手でブラショーを解くという最悪な試験だったらしいですが、普通の金融営業やアナリストには関係のない数式ですwww
それでお勧めなのがこちらの著書。

ブラショーを解くには、まずは正規分布を理解しないと、未知の世界の数式になってしまうのですが、こちらの著書は文系人間にも比較的分かりやすく正規分布について解説してくれています。
「神の指紋なし」の世界が「正規分布」という左右対称の美しい確率分布ができるのですが、ちょっと癖のある世界では確率分布が左右非対称になってしまうという話も詳しく書かれています。
本当は、この本をもっと早く紹介したかったけど、なかなか奥の深い本というか、書いた人は本当に頭の良い人なんだなぁと感心して前半から何度か読み返してしまって、読み切るのにちょっと時間がかかってしまったので、この週末に暇している人にはお勧めの書籍です。
注目してほしいのは、完全に自然な確率というのは左右対称の世界になるはずである、というところなんだけど、世の中って非対称なことが多いんです。そういう『理想モデルではこうあるはずだ』という意識を常に念頭に置いて生きていれば、確率的におかしい現象を見たときに『これって、裏で誰かなんかずっこいことやってない?』という感性が身に付きます。笑
そういう感性ってギャンブルで生きている人には重要だし、ギャンブルだけでなく、物事を冷静に判断するさいには必要な知識だと思います。
この本のもっと良いところがあって、139ページから158ページあたりまで、ブラウン運動がどうして外に広がっていくのかという話が書かれている。
ブラウン運動って分子がランダムに運動していることなんだけど、水に墨汁を垂らすとパーッと広がっていく。
パーッと広がっていくのはいいんだけど、確率的に超単純な人が考えると外に広がる確率とうちに向かう確率って2分の1なので、本来ならば墨汁は外に向かわないはずなのに外に向かっていく、それってどうして?っていう素朴な疑問に丁寧に答えてくれている。
解説本を読む醍醐味として、こういう素朴な疑問を丁寧に拾って答えてくれているっていうのは見逃せませんね。
さらにいうと、この本の書評、タイトルに【前半】と付けました。
後半の内容が難しくなっていくので、前半の感動を先に抽出しておいて、後半の感動はまた明日にでも書こうかと思います。
週末暇な人は、読んでみてね。
経済数学の直感的方法確率統計編
オプションのプライシングをモデリングした「ブラック・ショールズモデル」がノーベル経済学賞を取って一世を風靡した時代があって、数式モデルのみで運用する「ロングタームキャピタルマネージメント」(LTCMと略される)というファンドが設立されて、それがある日吹っ飛んだという伝説は有名な話なんだけど。
私も自分の本でブラックショールズモデルのモデルの書き方を付録でつけたことがあった気がするけど、ブラショーはエクセルで解くと一瞬なんですが、概念を理解するのは文系人間にはかなりキツい数式です(・・;
とはいうものの、高校数学を学んでいれば解けない問題ではありませんし、金融業界に入るからと言って解けないといけないというわけでもなく、金融セールスであれば概念を理解しておけば十分でしょう。※知人が野村証券のクォンツアナリストで応募したときの試験は、手でブラショーを解くという最悪な試験だったらしいですが、普通の金融営業やアナリストには関係のない数式ですwww
それでお勧めなのがこちらの著書。

ブラショーを解くには、まずは正規分布を理解しないと、未知の世界の数式になってしまうのですが、こちらの著書は文系人間にも比較的分かりやすく正規分布について解説してくれています。
「神の指紋なし」の世界が「正規分布」という左右対称の美しい確率分布ができるのですが、ちょっと癖のある世界では確率分布が左右非対称になってしまうという話も詳しく書かれています。
本当は、この本をもっと早く紹介したかったけど、なかなか奥の深い本というか、書いた人は本当に頭の良い人なんだなぁと感心して前半から何度か読み返してしまって、読み切るのにちょっと時間がかかってしまったので、この週末に暇している人にはお勧めの書籍です。
注目してほしいのは、完全に自然な確率というのは左右対称の世界になるはずである、というところなんだけど、世の中って非対称なことが多いんです。そういう『理想モデルではこうあるはずだ』という意識を常に念頭に置いて生きていれば、確率的におかしい現象を見たときに『これって、裏で誰かなんかずっこいことやってない?』という感性が身に付きます。笑
そういう感性ってギャンブルで生きている人には重要だし、ギャンブルだけでなく、物事を冷静に判断するさいには必要な知識だと思います。
この本のもっと良いところがあって、139ページから158ページあたりまで、ブラウン運動がどうして外に広がっていくのかという話が書かれている。
ブラウン運動って分子がランダムに運動していることなんだけど、水に墨汁を垂らすとパーッと広がっていく。
パーッと広がっていくのはいいんだけど、確率的に超単純な人が考えると外に広がる確率とうちに向かう確率って2分の1なので、本来ならば墨汁は外に向かわないはずなのに外に向かっていく、それってどうして?っていう素朴な疑問に丁寧に答えてくれている。
解説本を読む醍醐味として、こういう素朴な疑問を丁寧に拾って答えてくれているっていうのは見逃せませんね。
さらにいうと、この本の書評、タイトルに【前半】と付けました。
後半の内容が難しくなっていくので、前半の感動を先に抽出しておいて、後半の感動はまた明日にでも書こうかと思います。
週末暇な人は、読んでみてね。
経済数学の直感的方法確率統計編
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