【番外戦12】FBI - 深田萌絵 本人公式

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【番外戦12】FBI


2月24日は私の誕生日であると同時に、カリフォルニアにある裁判所に赴かなければならない日だった。そう、私のブログ、Facebook、ツイッター等を含む全ての言論活動の停止をIRS(合衆国内国歳入庁)から求められていた。

新弁護士は優秀だった。
「裁判を経る前に、行政処分としての没収命令を出すのは違法である」
彼女がそう一言告げると、オフィスやマイケルの自宅に貼られたIRSの没収命令は何者かによって剥がされていた。

Facebook友達から、このままでは私の身が危ないと告げられ、FBFの仲間を募って大使館への陳情を始めてくれた。

そして、一週間前に大使館から一通の手紙が来たのだ。
「事件に関する全ての書類を持って、3月10日に朝10時に米大使館へ来てください」
手紙にはそれだけしか書かれていなかった。

3月10日の朝、深田はタクシーで虎ノ門へ向かい米大使館前で降りた。
入り口で、大使館側に呼び出されたと告げたが、アポイントが無いから調べると言われて、手紙を渡して建物の前で待った。

寒かった。
ポツポツと霙でも降りそうな空だ。
吐く息も白い。

思わずコートの襟を抱え込んだ時、ベネディクト・カンバーバッチに似た白人が現れた。

「英語は話せますか?」
鋭い瞳を細めてベネディクトは笑った。

「少しなら」
深田は不安げに答えた。英語で仕事をしているとはいえ、初めて会う人の言葉を聞きなれるには毎回時間が掛かる。

彼は、私を大使館の二階へと案内し、入り口で私のスマホの電源を切ったり入れたりした。不正なソフトウェアが入っている時、スマホの起動時間は通常とは異なるからだ。

電子機器類の一切をそのまま警備員に預けて、ナショナルフラッグが飾られたロビーを抜けて小さな部屋に通された。

「ハイ、ジョンです」
こげ茶色の髪に長身の男が私に声を掛けた。

「もしかして、ジョン・デビッドソン?」
私は応えた。
政府系研究所の仕事をした時に、イラン人と中国人が衛星ハッキングの準備をしていたことを発見した時に報告したFBIの担当捜査官だ。ただし、エリの失踪後から連絡は取れなくなっていた。

「僕がいると驚く?」
ジョンは笑った。

「レイトン弁護士からケース・クローズになったと聞いていましたから・・・」
レイトンはマイケルに秘密でFBIに連絡を取っていた。FBIはレイトン弁護士に「マイケルは複雑な人間だから被害者かは分からない。その為、ケースはクローズした」と答えたのだ。

FBI被害者保護プログラムは何なのか。
マイケルがFBIから守られた事も無ければ、FBIがJSF技術流出事件を真剣に捜査した様子すらない。以前から、深田はFBIが日本の外事警察のようなズブズブの自体になっている予感がしていた。

「マイケルに何と話せと言われてきたんだ?」
ジョンは深田に問い詰めた。

「本当はマイケルがFBIに説明に来たいと伝えて欲しいと」
しどろもどろに答えた。なんだか、自分がマイケルの言いなりになっているかのような口調に戸惑いを覚えた。

ベネディクトがデスクに着くと、ジョンはデスクに『事件の資料です』と厚い冊子を四冊置いた。全て深田が事件解決の為にと用意したファイルだった。

「新しい証拠があるそうですが」
ベネディクトは深田に問いかけた。

「はい、藤井一良の戸籍が中国で死んだ日本人の戸籍を死後に婚姻関係と結んで、呉也凡が藤井健夫という日本人に成り済ました証拠です」
深田は戸籍の写しを見せた。ベネディクトは頷いた。

「そして、これが呉也凡の中国でのIDです」

「どうやって、それを手に入れた?」
ジョンが声を上げた。

「マイケルの友達に頼んで、公安から貰って来たんです」
深田がそう答えると、ジョンは大げさに「WOW!!」と答えた。

「公安に入り込めるのか?彼は中国でしょっちゅう解放軍と会っているそうじゃないか?」

「え?解放軍?」
マイケルが中国に行く際には、深田はできるだけマイケルに同行していた。

「解放軍なんかに会ったかな?」
深田は記憶を探ったが、深田が中国で会ったのは、大華、華数、ハイケビジョン、ハイセンス、夏龍等のデジタルデバイスとデータセンター系の企業の社員だけだ。しかも、その時は、米大手半導体企業も、日本最大半導体企業も、日本の商社も同行しているのだ。

「じゃあ、どうして公安の資料を手に入れられる?」
ジョンは深田に迫った。

「どうして、君はそんなに中国語が流暢なんだ?留学していたそうだが、留学時に中国政府からコンタクトがあったんじゃないのか?」
ジョンは止まらなかった。

―― やはり、自分たちがスパイに仕立て上げられている。
ゾッと来た。藤井とエリは日本の外事警察を丸め込んだだけでなく、FBIの捜査官まで抱き込んだのか。

「公安の資料は、マイケルがジョンに以前に説明したファンさんが友達に頼んでくれたんです。ファンさんは元軍人だけど、ずいぶん前に退役していますよ」
ファンさんとは、翡翠美術館の館長で、いつも鼻毛がボーボー。ベトナム戦争時の枯葉剤の影響で歯がボロボロになっている好々爺だ。戦争の時の話をしてくれるし、カラオケに行けば日本の軍歌まで歌ってくれるサービス精神旺盛なお爺さんだ。彼はベトナム戦後に退役し、それから既に半世紀が経っている。

「ファン?」
ジョンは初めて聞いたようなフリをして、ノートに大げさに書き込んだ。
前から思っていたが、男は基本演技が下手だ。そのうえ、大雑把なアメリカ人となると大根にもほどがあるといつも思わされる。FBIならエリちゃんの演技力を見習ってほしいものだ。

「それよりも、IRSからスパイ情報や防衛省の機密情報を求められていて困ってるんです」

「IRS?」
ベネディクトがジョンを振り返り、ジョンは「Internal Revenue Service (内国歳入庁)」だと耳打ちした。

「そのIRSが、『ハンドラー(マスタースパイ)』の情報を求めたり、防衛省の情報を求めたりしてきていて、全くお金に関係ない話ばかりをするんです。それどころか、私が裁判を提起したらジョエイなんていませんと居留守まで使って・・・」
深田が資料を開いたが、ジョンは見向きもしなかった。

「私は日本人だし、日本の会社だし、ほぼ赤字でようやく黒字になったところだったんです。マイケルの会社から製品を買っていたので、何度もマイケルに値段を負けてくれとたのんだんですが・・・」

「え?マイケルの会社から製品を買っていた?」
ジョンが声を上げた。

「マイケルの会社から製品を買っていたのか?」
ジョンが深田を見つめた。
深田はコクリと頷いた。当たり前だ。製品を買わずに製品を売るなんて、そんなことが製造業でできるはずがない。

「どうして深田さんは藤井一良がスパイだと思ったんですか?」

「藤井君はIRSまで使って日本企業に調査に来て、その時に担当官が仮差押え命令でマイケルの銀行口座が日本で差し押さえられたからマイケルの隠し口座があると言っていました。その書類を持っているのは藤井君だけだし、それに差し押さえられたのは私の口座なんです」

深田は口座の写しを出した。

「そんなことができるのか?」

「通常はできないはずです」

「法律で許されているのか?」

「許されていません」
深田はベネディクトに応えた。

「深田さん、貴女はFBI以外のエージェントと話しているのか?」
ジョンは話を変えた。

「日本の警察くらいです」

「何故、日本の警察が動くのだ?」

「2014年8月28日の新聞でうちの事件が報じられてから、記者から『警察が動いた』と連絡がありました。それを彼女に伝えた瞬間から、彼女と連絡が取れなくなったんです」

「新聞・・・?失踪・・・?」
ジョンは驚いた面持ちだったので、深田は新聞記事を指し出した。

「産経じゃないか」
全く知らなかった。彼はそんな顔をした。
ジョンは、エリが消えたこと、新聞記事になったことを知らなかった。いや、知らされていなかったという顔をした。

帰り道、ベネディクトが出口までエスコートしてくれた。
「大変でしたね」

「そうですね。中国のスパイは各人が小さな罪を犯すので実態が掴みづらいですからね」
深田がそう言うとベネディクトは『えっ?』という顔をした。

「あのロシア人スパイみたいに、一人で根こそぎ持っていく仕事とは違うという意味です」
深田の言葉にベネディクトは笑顔を見せた。

出口でお礼を言って大使館を後にした。

トボトボと虎ノ門の坂をヒールで下る。
なんだか、すごく違和感があった。
FBI担当官ってもっとクールなはずなのに。

深田はジョンのリアクション下手を思い返し、
「あれって、浮気がばれた時の男と同じ反応だったな」
と父の姿を思い出した。

TO BE CONTINUED
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コメント

「証拠の提示」は、一瞬で警察・検察が納得する「正攻法」!

>深田は、新聞記事を指し出した。
>「産経じゃないか」
>(FBIの)ジョンは、(エリが消えたこと、)新聞記事になったことを知らなかった。

ナイス!

「R社」事件 立証証拠「各種報道一覧」

深田萌絵公式ブログより
R社事件 立証証拠「各種報道一覧」

1.産経新聞2014年8月28日(木)一面トップ掲載記事
2.雑誌FACTA4月号 巻頭記事
3.Jcastニュース2014/3/26
(4.雑誌『外交』Vol.24〈*ブログ内に紙面詳細記事は不掲載〉)

「1.産経新聞」過去ブログより参照「R社」事件 立証証拠

1.産経新聞2014年8月28日(木)一面トップ掲載記事

過去ブログ「第26回戦 新聞一面に」
2015/12/16 13:49
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-3418.html
産経新聞(紙面画像)添付
【狙われた情報通信】日本舞台に暗躍、水際で回収3次元技術、中国腕ずく
平成26年(2014年)8月28日(木)


過去ブログ「狙われた情報通信」
2014/08/30 10:19
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-3099.html
産経ニュース(ネットニュース)掲載
【狙われた情報通信】(上)3次元技術、中国腕ずく
(2014.8.28 08:04)
http://www.sankei.com/economy/news/140828/ecn1408280002-n1.html

「2.雑誌FACTA」過去ブログより参照「R社」事件 立証証拠

過去ブログ「FACTA 買ってみてね!!」
2014/03/24 22:22
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-2765.html
「紙面画像」添付

過去ブログ「雑誌FACTA 4月号 巻頭記事」
2014/03/24 18:13
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-2764.html
「雑誌FACTA記事。被害に遭った『R社』は深田が株主の会社です。
『N社』は日本中の先端技術企業の下請けのふりをして入り込んで、
色んな技術を盗んだということで被害届が出ているみたいです。」

雑誌FACTA 2014年4月号(紙面画像)
中国Huaweiの「第五列」浸透
―安全保障は国境「線」や領土、領海の「面」だけではない。通信、電力、水道などの「グリッド」(*送電網?)も狙われている。―
2014年4月号 [インフラ「有事」前夜]
http://blog-imgs-85.fc2.com/f/u/k/fukadamoe/blog_import_569b62f689b6b.jpg
http://blog-imgs-85.fc2.com/f/u/k/fukadamoe/blog_import_569b62f7ac21c.jpg
「大学を闊歩する『領収書不要の男』」

雑誌FACTA 2014年4月号(前半のみネット版)
https://facta.co.jp/article/201404021.html

「3.Jcastニュース」過去ブログより参照「R社」事件 立証証拠

3.Jcastニュース(ネットニュース)

過去ブログ「スパイ取材BYJCASTニュース」
2014/04/08 14:56
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-2816.html

Jcastニュース(ネットニュース)掲載
中国通信機器大手、ファーウェイは「危険な存在」なのか 
各国が「締め出し」に動く中で、日本はどうする
2014/3/26
http://www.j-cast.com/2014/03/26200190.html?p=all
「雑誌「FACTA」2014年4月号。
日本国内企業(*R社)が開発した高度な映像システム技術(*超臨場感映像システム)を同社(*ファーウェイ)が『コピーした』疑いも報じている。」

「4.雑誌「外交」」過去ブログより参照「R社」事件 立証証拠

4.雑誌「外交」Vol.24(*ブログ内に紙面詳細記事は不掲載)

過去ブログ「グーグルが中国を撤退したわけ ~奪われた言論の自由~」
2014/05/07 23:10
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-2917.html
(表紙のみ画像)添付
「今回の『外交』で、国内大手光学系メーカーのアルゴリズムや、国内大手自動車メーカーの自動操縦センサーの技術流出が確認されたそうですが、『犯人企業の名前』は、下記雑誌の101ページに書いてあります。」

過去ブログ「第28回戦 嗚咽」
2015/12/18 22:39
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-3420.html
内閣に情報を提供しているジャーナリスト
「深田さん、内調(*内閣調査室)は『R社』の件を把握しています」
「雑誌『外交』と『産経新聞』でしょ。派手でしたからね」
「内調は、貴女には会わないと回答しました」

雑誌「外交」Vol.24(目次のみ画像、PDF)
【特集: ユーラシアTRIMと安倍外交】/時事通信社
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/vol24.html

裁判前のIRS没収命令は違法

>米国弁護士に相談したけど、70人に断られた今日この頃。
Twitter 21:33 - 2016年2月10日

>新弁護士は優秀だった。
>「裁判を経る前に、行政処分としての没収命令を出すのは違法である」
>彼女がそう一言告げると、オフィスやマイケルの自宅に貼られたIRSの没収命令は何者かによって剥がされていた。


優秀な新弁護士、ナイス!

雑誌FACTA「ソフトバンク『排除』の理由」

>私のスマホの電源を切ったり入れたりした。
>不正なソフトウェアが入っている時、スマホの起動時間は通常とは異なるからだ。

>たぶんsoftbankの携帯から位置情報を誰かが中国へ知らせてるような気がするので、softbank止めます。
>Twitter 22:51 - 2016年2月21日


ナイス!

小泉純一郎首相の秘書官 飯島勲氏
「私の周りにいる国家機密を扱うような人や情報機関の所属で、ソフトバンクの携帯を使っている人はいない」


雑誌FACTA
ファーウェイ(中国華為技術)―「傍受」疑われる通信の覇者
通信機器で世界一になった。解放軍の影がちらつくが、排除できぬほど日本に浸透した。ガードの次善の策は「監視」か。
2012年10月号
https://facta.co.jp/article/201210020.html
ソフトバンク「排除」の理由

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深田萌絵ブログが強制削除されることにより、FC2にバックアップを置いています。
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