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【第37回戦】忍び寄る鴻海テリー・ゴウ①

(本編です。2014年暮れごろの話)

「リアルタイム3Dチップを作ろうと思う」
マイケルが唐突に言い出した。

「ハァ?」
深田は面食らった。こないだ作ったばかりのVatroni低遅延型動画伝送システムが出来上がったところで、まだ販売プロモーションにもロクに入っていない。

「ちょっと待ってよ。まだ無線動画伝送システム売って、回収しないといけないんです」

「新製品が無いと売れないだろう。というか、もう殆どできた」
マイケルは事もなげに答えるので深田はずっこけた。
実は、この世にリアルタイム3D合成ソリューションは存在しない。3D映画は右目と左目の映像を撮るために二つのカメラで撮影して、奥行き感を表現するのにCG屋がリタッチしているので異常に時間が掛かるし、コストも半端ない。ハリウッドでは3D映画製作の予算に数十億円かけることもザラだ。

「いつの間に作ってたのよ?」

「え?米大手半導体企業がリアルタイム3Dモデリングチップを一緒に作ろうって頼んできたので作っていたけど、フカダが忙しそうだから、言うのを忘れていただけだ」

「で、どこまでできたの?」

「カメラを複数台繋いで、システムに通すと3Dモデリングが出てくる」

「は、実写?」

「そうだ。リアルタイム実写3Dだ」

「そんなことできるの?」

「人間の目と同じだ。視差から奥行きを計算するだけだろ?それを高速でやればいいだけの話じゃないか」
今にも『地球人は知能が低いからなぁ』と言った雰囲気で宇宙人マイケルは淡々と答える。今の世の中、3Dモデリングの計算には何分もかかるのが普通だそれがリアルタイムなんてやばすぎる。

「そんなチップ作っちゃったら、またスパイが押し寄せてくるから気を付けてよ!」
深田はマイケルに抗議した。
マイケルと出会ってから第迷惑だ。
こいつは米軍の音速機用遠隔操作システムを作って以来、中国人民解放軍、国安諜報員、台湾暴力団青幇、その配下のフロント企業、日本からは在日朝鮮系のフロント企業やらが波のように押し寄せてきている。

「だから米大手と作ったんだよ。何かあったら、すぐに俺の代わりに訴訟してくれるだろう。それに、フカダはインテリヤクザが来たって、法廷でヤクザ弁護士が出てきたって怒鳴って追い返すような鬼子じゃないか」
マイケルは応える。

「なんだとぉ!!」
深田は額に青筋が立った。インテリヤクザとの怒鳴り合いの戦いや、柴田睦夫共産党議員お抱え弁護士梶原利之のチンピラぶりに深田がどれだけストレスを感じてきたかと思い返すと怒りでプルプルしてきた。

「怒るな、鬼子」
最近、周囲の中国人が私を鬼子と呼ぶようになったと思ったら、どうやらマイケルが言いふらしているようだ。

ピンポーン。
オフィスのインターホンが鳴る。
「こんにちは!ディスプレイ開発のダイちゃんです」

元パイオニアのディスプレイエンジニアのダイちゃんだ。

「マイケルさんに呼ばれてきました」

「え、何の件ですか?」

「映像が浮かび上がる3Dディスプレイの開発で伺いましたが」
ダイちゃんの言葉に深田は噴き出した。
そんな話聞いたことも無い。

「マイケル!まだ3Dチップも出来上がってないのに、3Dディスプレイ作る気なの?いい加減にしてよ。会社がパンクする!」
深田はキッとマイケルを睨み付ける。これ以上開発費ばっかりかけられたら、開発費を回収するどころの騒ぎじゃない。

「大丈夫だ。デコーダもあるし、あとは光学シミュレーションとマルチ光線ピクセルの開発だけで終わる」

「絶対にそれだけで終わらないし、そんな開発にかけるお金は無い!」
開発は素晴らしい要素技術があっても、部品の組み合わせや信号同期等のつまらないところで意外と時間が掛かる。時間が掛かればそれだけ経費が飛んでいくのだ。

「深田さん。お金なら、機構と一緒に助成金を取ればいいんですよ」
ダイちゃんはニコニコしながら答えた。

「そんなこと、できるの?」

「はい。東京都の技術開発センター(仮名)に行けばいいのです」
ダイちゃんの言葉で、三人はさっそくセンターのあるお台場に向かった。

続く
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