第18回戦 マイケルの決意 - 深田萌絵 本人公式

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第18回戦 マイケルの決意


ズズズ。
深田はオレンジジュースをすする。

普段ならカフェでは熱いカフェラテを頂くのだが、外事警察で事件について喋りっぱなしだったので喉がカラカラだ。
特定秘密保護法が施行されなければ、日本の衛星情報なんてとてもじゃないけど守られない。(2014年春当時は施行前)

マイケルが台湾調査局に誘拐されそうと被害を相談しても、アメリカみたいに被害者を守るシステムは無いからFBIに守ってくれとか、得意のたらい回しの術で煙に巻かれた。

「日本って意外と安全じゃないんだな」

考えてみれば治安は良いけど、国民を守るとか、スパイが国民を危機に貶めているという観点は無い国だ。自衛隊が戦地に赴いても銃に弾を詰めて構わないかどうか国会で議論する始末だ。
総務省の予算17兆円に対して、防衛省は4兆円と四分の一なうえに支出はほぼ人件費で貧乏省だ。防衛省は野党によってとことん冷や飯食いをさせられてるのだ。

「ラファイエット事件で殺されたフランス人は東京で殺された。犯人は捕まっていない」

マイケルはサンドイッチを頬張りながら応える。ラファイエット事件では台仏の捜査員証人含めて総勢14人が殺され、事件はうやむやになった。

「殺されても犯人すら捕まらないの?」

「警察に被害届け出したら捜査してくれるのか?」
言われてみればそうだ。
昔、友達が強姦されて警察に被害届けを出したが、その後警察からは音沙汰なし。逗子でストーカーに殺されたのは、エリの友達だ。
シンガポールでストーカー被害に逢った時、電話番号で加害者を割り出して2時間以内に逮捕してもらったと金融機関の女友達が言っていたのとは雲泥の差だ。

「FBIに相談しようよ」

「2008年の夏。馬英九が陳水扁を逮捕させた日、俺は台湾系FBI捜査官に捜査が打ち切られたと伝えられた。青幇は政治に強い。そして、警察捜査は常に政治だ」

台仏中で巨額の賄賂と引き換えにラファイエット級フリゲート艦技術を中国解放軍へと売ったラファイエット事件の犯人を追った政治家は民進党の陳水扁元総統だけだ。

「FBIも…。もうなす術が無いね」
深田はため息を吐いた。
陳水扁は病床の身でありながら投獄されて、治療も受けられない苦しみから自殺未遂までした。馬英九が総統である限り、事件の捜査は再開されないどころかマイケルが台湾へ帰る日もこないだろう。

「深田、どうしてまた会社を始めたか分かるか?」

深田は首を傾げた。

「昔、台湾で公開企業の社長だった俺は充分な金があった。中国スパイに付きまとわれて、オフィスは襲撃され、400以上あった特許は米国最大の弁護士事務所に俺のサインを偽造されて失い、結果的に20億円近い借金を背負うことになった。五つあった家を売り、借金を全額返した頃にはホームレス寸前だった。FBIに相談した頃といえば、俺の技術を証明しようにも特許もなく、製品も破壊された後だった。台湾系捜査官が俺に放った言葉は、『マイケルさんの技術が本物だと証明するべきです』だった。偽物呼ばわりだ。ところが、自分が本物であることを証明する為に、またチップを開発しようにも金が無かった。チップの開発は金がかかり過ぎる。開発どころか、生活するだけで精一杯だった」

凄惨なシチュエーションだ。
自分だったら、たぶん絶望して自殺してるだろう。

「捜査が中断になってしばらくして、自宅に手紙が届いた。米国特許庁が、偽造サインで取り消された俺の米国特許数十を返還してくれのだ。特許史上、取消した特許が返還されたのは初めての事件だ。この特許をすぐさま売りに出した。すぐにパテント・トロールから連絡が来て、10特許で115万ドルの値段が付いた。おとなしく生きれば死ぬまで特許で生きていけることは確実だった」

「でも、そうはしなかったのね」

「俺はその金で元の会社のトップエンジニア2人を呼び戻して研究所を作った。金だけあって朽ち果てていくなら、俺は自分が本物であることを自分で証明する。それだけのことだ」

深田はハッとした。マイケルの技術が市場に出回ると困る人物がいる。

「マイケル、それだよ。マイケルの技術が市場で出回ると馬英九は困るんだよ。だから、藤井を使って製品化の妨害をしたんだ」

アルファアイティの藤井はマイケルから依頼された製品化用ソフトウェアをいつまで経っても作らなかった。その意図は、市場にマイケルの製品を出さない為だ。
瞬間、深田の携帯が鳴った。

「萌絵さん、大変です!」
エリの声が震えている。

「大変、大変って、なんなのよ」
既に大変過ぎることが連日起こっている。
「依頼していた基板設計の納品がなされませんでした」

「な、納品されなかった?」

「やられた、基板が無いと製品ができない。オフィスへ戻るぞ」

2人はカフェを飛び出し、オフィスへと急いだ。

深田の運命やいかに…

続く
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