第26回戦 新聞一面に - 深田萌絵 本人公式

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第26回戦 新聞一面に



ジリリリ、ジリリリ

黒電話音に設定したスマホが鳴る。

「うーん・・・」

目がなかなか開かない。たぶん、昨日なかなか寝付けなかったせいだ。
うっすらと目を開けてスマホを見ると、『エリ』と表示されていた。

良かった。これで仲直りだ。

「エリちゃん、おはよう」

「もえちゃん、大変です!」

電話口でエリが声を上げる。

「だから、何が大変なんだよ!」

ほぼ、毎日のようにエリかマイケルが大変大変と言い出すので、そろそろ苛ついてくる。

「FPGAが盗まれそうになった事件、産経の一面になりました!!」

「ハァ!?産経新聞!?」

「はい!一面です!」

「ていうか、エリちゃん新聞読んでたの?」

思わず深田は突っ込んだ。

「いえ、知人から連絡があって、産経新聞一面のR社ってうちのことじゃ
ないかって聞かれて見てみたんです」

「どうだったの?」

「うちです。間違いなく・・・」

その言葉を聞いて、深田は髪も梳かさずコンビニへと走った。

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新聞には、盗まれそうになったFPGA7000万円相当を中国に渡る前に水際で回収したと書かれていた。R社のK氏。マイケルのことだ。

『狙われた情報通信』と冠された記事には、『上』と書かれていた。明日は『下』となるのか。

翌朝はより衝撃的な記事だった。

うちの3D技術で中国人民解放軍と直結している中国科学院が衛星搭載型のレーザー兵器の開発を行なおうとしていることが明らかになった。

「解放軍のルアンハオ・・・」

聞いたことのある名前、そう、私とエリが訳した英語の意味が分からないと問い合わせてきた人物だ。ただし、問い合わせてきたときは中国科学院だと名乗っていたはずだ。
10年前、マイケルがJSF(統合打撃戦闘機)の開発計画に加わってから、解放軍によってJSFの設計は盗まれた。

当時、マイケルは中国科学院の顧問として、年に数回中国へと渡っていた。無論、米国政府の許可は得ていた。

JSF事件が発覚した後、米国政府の調査で中国科学院でマイケルが出会った40人の院士は全部二つ星以上の解放軍軍人だったことが発覚した。
そして、今、また中国科学院が裏で動き始めている。

「もえちゃん、こんなのニュースになっちゃっていいんですかね」

「そうだな、どうなんだろう」
また、S社の部長が怒鳴り込みに来るかもしれない。

オフィスの電話は問い合わせの電話が鳴り続けた。

R社とは、うちのことなのかと。
深田はエリを車に乗せて産経新聞へと向かった。
「エリちゃん、待ってて」

産経新聞社へと入り、深田は記者を探した。
この記事のこと、もっと知りたい。

担当記者のうちの一人が現れて、記事の情報源については答えられないと告げられた。

「この事件、どうなるんですか?」

「県警が動き始めた」

記者はそれだけ応えた。

「県警!?」
遂に警察が動いた?
この一年間、苦しみぬいた。何度警察に通っても、被害届は一度たりとて受理されなかったのだ。
それが、記事になった瞬間から警察は動き始めたのだ。

深田は走って車まで戻り、エリに声を掛けた。
「エリちゃん!県警が動き始めたって。この一年間の苦しみからようやく解放される!」

深田は少し興奮気味だった。
この不気味な事件の連続、相談しても気のせいだとバカにされてきたけど、もう気のせいだとは言われない。

「よかったですね」

エリは瞬きもせずに答えた。
言葉とは裏腹に顔はこわばり、声は冷たかった。

「もえちゃん、なんだか風邪で熱があるみたい。今日は早退してもいいで
すか?」

エリが力なく答えた。

「そうだね、エリちゃん働き過ぎだよ。休んだほうがいい」

深田はエリを自宅まで車で送り届けた。

すみません、それじゃ、と言ってエリはマンションへと消えていった。

その後ろ姿が、彼女を見た最後の瞬間になるとは夢にも思わなかった。

TO BE CONTINUED
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