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第15回戦 マイケル逮捕命令



「深田様、警備の者です」
マンションの警備員が深田の部屋の扉の向こうから声を掛けた。
結局、深田はインターホンに応答せずに、不審者が居ると警備員を呼んだのだ。
「どうでしたか?」
「男性は、深田様に書類を届けに来ただけだと仰って帰られました」
「帰った。その書類は受け取られましたか」 
「いえ、そのままお帰りになりました」 
 「書類を持ってきて、書類を預けずに帰ったの?」 
深田が確認すると警備員はこくりと頷いた。
ますますおかしい。通常なら、警備員かレセプションに荷物を預けるはずだ。
「念のため、カメラの映像を保管しておいてもらえます?」
「警察での被害届けが必要なので、一週間以内にご提出頂ければご用意できます」
警備員はそう言って戻っていった。

深田はスマホを手に取り、マイケルに事態を伝えようとするが繋がらない。
「こんな大事な時に!」
深田はもう知らないと、スマホを投げ出してソファにうつぶせた。

ジリリリン、ジリリリン
黒電話の呼び出し音に設定したスマホが鳴り出して目が醒める。知らずにウトウトしていた。
マイケルか…?と思って電話に出ると「ハロー、ニーハオ!マイケルいますか?」と女性の声がした。マイケルの元秘書のジュディだ。彼女はいま、台湾にあるマイケルの家の近くに住んでいる。

「ジュディ、マイケルは昼から連絡が取れないんだけどどうしたの?」
「いま、台北警察が来て、マイケルを逮捕したから通知書にサインしてくださいと言われて…」
ジュディは今にも消え入りそうな声を出した。
「はぁ?罪状は何?」 
「罪状は10年前と同じ。白紙の逮捕状」
「ジュディ、それ、証拠に使えるからサインせずに写真に撮ってこっちに送って」
そう言って電話を切った数分後に、またジュディから電話がかかってきた。
「シェンティエン(深田)!」
「写真は撮れた?」
「それが変なの。警察に電話がかかってきて、ちょっと話した後に『マイケル逮捕は間違いでした』って言って帰っていったの」
「写真撮った?」
「警察も見切り発車がヤバいと思ったみたいで逮捕状を慌ててクシャクシャに丸めて逃げてった」
「もう、なんだったの?」
「警察官は近所の人だったんだけど、マイケルが台湾に着く深夜まで待つように台湾調査局に言われたけど、残業するのがイヤで早めに来たんだって」
「マイケルは?」
「捕まってなかったみたい。安心したら眠くなりました。おやすみなさーい」
「あ、ちょっとジュディ。待って…」
そう言ってジュディの電話はプツリと切れた。

突然いなくなる亡命中のマイケル。

突然現れて捜査する日本国内捜査権の無い台湾調査局。

残業がイヤで手抜き仕事でジュディを訪問した台湾警察。

気が済めば、勝手に電話を切る元秘書のジュディ。

「台湾人、マイペース過ぎる…」
いったい何なんだよ、と深田はクッションに顔を埋めた。
亡命してるヤツもなんだが、スパイも警察も適当過ぎる。

台湾国民党 対 深田

深田の運命やいかに…
続く
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