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  • 「クレイジーだな」 深田の新会社を立ち上げようという提案をマイケルはSkype越しに笑った。全部持ち逃げされて、何も残ってないのに、また会社やろうなんて、確かにちょっとバカげてる。 「資金はどれだけあるんだ?」 「会社の登記して、一ヶ月分の資金繰りと私の一ヶ月分の生活費よ」 一ヶ月しかもたないのに会社始めるなんて本当にどうかしている。どこまでお前は博打打ちなんだと、自分でも言いたくもなる。 実... 続きを読む
  • 「深田社長、これ、御社の社印じゃないですよ」信用金庫の営業が深田に印鑑を突き返した。「ええ?」エリの親友が「エリに頼まれました」と言って持って来たうちの社印のはずだった。「そんなはずは・・・」「社印の陰影が違うでしょ」言われてみると確かに陰影が違う。エリに電話をしても繋がらない。LINEもFacebookも無いので連絡しようも無い。エリの母親を名乗る女性に電話すると、「それは貴女の気のせいです」と... 続きを読む
  • エリと連絡が付かなくなって何日もが無為に過ぎた。食事をしようとすると嗚咽で呑み込めず、ダイエットでは落ちない体重があっという間に3キロ落ちた。「エリちゃんが裏切る?」裏切ったかもしれないし、そうじゃないかもしれない。彼女の意思かもしれないし、そうじゃなかもしれない。自分が頼りない人間だから、愛想尽かされただけかもしれない。それは、自分には分からないことだ。でも、この一年間これだけ脅迫されたり、なん... 続きを読む
  • 「深田社長!ここにハンコ!お願いします」取引銀行から頼まれて、深田は金庫を開けた。「あれ?」入っているはずの印鑑と通帳が無い。そうだ、エリが契約書作るとかで印鑑通帳を持って帰ってしまっているのだ。「すみません、副社長に預けてて風邪で休んでるんですよ」「そうですか、それじゃあ次回」そう言って銀行員は帰って行った。エリが休んで3日。電話は通じず、LINEで朝一通メッセージが来るだけだ。深田はLINEで「病気は... 続きを読む
  • ジリリリ、ジリリリ黒電話音に設定したスマホが鳴る。「うーん・・・」目がなかなか開かない。たぶん、昨日なかなか寝付けなかったせいだ。うっすらと目を開けてスマホを見ると、『エリ』と表示されていた。良かった。これで仲直りだ。「エリちゃん、おはよう」「もえちゃん、大変です!」電話口でエリが声を上げる。「だから、何が大変なんだよ!」ほぼ、毎日のようにエリかマイケルが大変大変と言い出すので、そろそろ苛ついてく... 続きを読む
  • 「やれやれ」マイケルがシリコンバレーに戻り、深田は両手を天井へ伸ばした。普通の仕事は苦にならないが、訳の分からないことが多すぎて最近は肩が凝るのだ。デスクの上にある電源が抜かれた電子基板を見る。「電気が通らない基板作ってプリント工業は何がやりたかったんだろうね」「もえちゃん、でも、私はプリント工業さんに基板に電源入れてってお願いしなかった気がするんです」誰に話しかけるわけでもなかったが、エリが応え... 続きを読む
  • 246キャピタルと揉めている頃、見知らぬ電話番号から電話が何度か鳴った。ところが折り返すと電車の音がして、間違い電話だと悟る。これを何度か繰り返して、ある時相手と電話が繋がったのだ。「あの~何度もお電話頂いて~」「ごめんなさい、深田さん。間違い!」「え?私の事知ってるの?」と聞いてみたら、私が勤めていた金融機関の法務部の人間だった。「いやー、久しぶりー!」とお互いの近況を報告しあってみるととんでも... 続きを読む
  • 流暢なLAアクセントが利いた英語。光沢感のあるイタリア製のスーツに程よく焼けた肌が輝いている。それが246のキャピタリスト。どこからどう見てもかっこいいのだ。「御社への投資には、条件があります」「なんですか?」深田だけでなく、マイケルとエリにも緊張が走った。「深田さんとエリさんを取締役から降ろすこと。もう少し見栄えのする経営陣をハーバードから僕が引っ張ってきますから」キャピタリストは眼光鋭く応えた... 続きを読む
  • 起業した時に最も起業家が嵌る罠はベンチャーキャピタルだ。まともなベンチャーキャピタルは、かなり少ないのだ。大企業系から投資を受けると、その系列でしか仕事ができないなどの制約を受けるので企業系の投資を受けるとサラリーマン状態に逆戻りだ。 系列がたくさんある大企業はまあまだマシで。学生起業家に投資するベンチャー企業があるけど、数百万円の投資で株の過半数を取られて数年ほどただ働きした果てに根を上げて... 続きを読む
  • 「そろそろファンドレイズ(資金調達)するか」マイケルがそう切り出した。この会社を立ち上げる時、深田がシードマネーを準備し、エンジェルからファーストステージの資金調達を行なった。「この次はベンチャーキャピタルだな…」深田がベンチャーキャピタルを避けてきたのは、ベンチャーキャピタルは企業を潰すケースがかなり多いからだ。銀行系は融資並みに資産を要求するし、企業系VCからの出資は独立性が保てなくなる。保険... 続きを読む

fukadamoe

深田萌絵(41歳)本名 浅田麻衣子
IT企業経営の傍ら、ITビジネスアナリストとして雑誌へ寄稿。

チップソリューション、自動車向けLidar代替ソリューション、3D認識システム、リアルタイムAIソリューション提供。
深田萌絵取材・講演依頼→moe.fukadaあっとまーくyahoo.com
開発・技術相談→infoあっとまーくrevatron.com


美術短大現代絵画科準学士、早稲田大学u政治経済学部国際政治経済学科卒。

TOEIC890、HSK5級、証券外務員一級、内部監査員、陸上特殊無線技士2級、航空特殊無線技士、マイクロソルダリング講習受講(資格未取得)。